特許権登録の図解

最終更新日:2019.7.3


管理費ってかかるんです

晴れて特許になった。でも、何もせずに自動的に特許権者になれるわけではありません。特許された後、出願人はもう1つアクションを起こさなければ、特許権者になれません。

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特許権を発生させるためには

特許された出願に係る発明について特許権を生じさせるには、特許庁に対し、特許査定の通知から30日以内に、原則、第1年~第3年の特許料を納付して、設定登録してもらう必要があります。

特許料の金額は請求項の数によって決まります。例えばH30年11月現在の基準における「第1年から第3年までの特許料」は、

  • 請求項の数が10個であれば、12,300円
  • 請求項の数が20個であれば、18,300円

となる程度の金額です。

 

特許権を維持するための年金

特許権を4年目以降も保持したい場合は、その都度、維持するためのお金(年金)を支払う必要があります。

例えば、出願してから5年後に権利が登録された場合、請求項数が10個の特許権を15年間保持するためには「739,800円」かかります。(H30現在の基準)。また、出願後即、権利が発生して、請求項数が10個の特許権を20年間保持するためには「1,231,800円」かかります(同上)。

 

権利の棚卸し

このように特許権を維持するためには、安くないお金がかかります。もちろん、15年間/20年間にわたって発明を独占排他的に実施できますし、15年間/20年間に渡って事業から得られる利益に比べれば微々たるものかもしれませんが…それ相応の金額になります。

そのため、特許権を取得したとしても「いまもこの請求項は未だいるのか」という権利の棚卸を年度ごとにすることを心掛けるのが適切です。

 

政策的な料金設定

ところで特許料は、受益者負担によって特許行政経費を支える性質のものであるという理由もあって、政策的に料金設定されています。

また、特許料および維持年金は20年間で一律同額とはされていません。具体的には、第1年~第3年分の登録料や第4年~第6年という初期の頃は、まだ事業準備段階などで事業が盛んになっていないために特許料を支払うには権利者の負担が大きいと思われるため、料金は安く設定されています。

そして、事業が盛んになってそれ相応の利益を得てから多額の料金を支払ってくれればよい(それで構いません)という制度に設計されています。また、近年は料金の引き下げも行われています。

 

むすび

以上、特許権の設定登録について記載しました。なお、中小・ベンチャー企業、小規模企業などを対象に、特許料が軽減される措置もあります。料金軽減措置のための手続については特許庁ウェブサイト「特許料等の減免制度」をご覧ください。


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