クレーム作成の「守破離」

「守破離」。それは「道」における修業の段階を表したもので、「守」は師匠から教わった型を身に着けて守る段階、「破」は別の師匠から教わったことも取り入れることで、型を破る段階、「離」は型から離れて、独自のものを生み出す段階。御多分に漏れず、クレーム作成のスキル向上のためにも、「守破離」が大切であると思います。


TEXT BY SHIGERU KOBAYASHI


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知財専門家は、自分が詳しく知っている技術分野だけでなく、馴染みの薄い様々な技術分野についても請求項(クレーム)を記載することができます。それは何故かというと、特許法を知っているか否かの前に、「型」を持っているからだと思います。

「クレームはこう書くべき」という基本の「型」があります。

知財業界に新入りしたときに師匠から「型」を教わる人も多いと思います。構成要件を列挙する等の形式的なことから、発明の効果または願望は記載せずに機能作用を書く、クレーム中の構成要素ごとに抽象度を変えるなど他にも沢山あります。

この基本となる「型」は「守」らなければなりません。そうでなければ、一つの技術分野についてクレームをつくれたとしても、自立して様々な技術分野についてクレームをつくることはできません。

そして、この「型」をもって、自立して色々な技術分野を経験する、訴訟を経験する、判例を考慮して日々進化する特許実務に対応していくと、身につけた「型」が少しずつ変化し、基本の「型」を「破」り、自ら改良した「型」を見つけることができます。

さらには、新しい技術分野が出てきた場合において、前例であったり蓄積したノウハウがない中でクレームを書くには、「型」を意識せず、明確で侵害立証容易性が高く、且つ、無効理由を有さないクレームをつくる方法を考えることになります。すなわち「型」から「離」れることになります。

「守」「破」「離」。御多分に漏れず、クレームのスキルを高めるためにも守破離が大切だと思います。新入りしたときに師匠が教えてくれる「型」を素直に学ぶ。それは極めて重要なことであり、それがないと形無しになります

だからこそ、どんな師匠に教わるのかは前提として極めて重要です。よく、天才は教えるのが下手とかいう意見がありますが、良い指導者か否かは天才か否かではなく、「型」を教えることができるか否かだと思います。

ちなみに、「守破離」の語源の一つに千利休の「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」があるそうです。「本を忘るな」‐知財専門家にとって「本」が何であるかは熟考する価値がありそうです。



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