知財調査にも「仮説」が通用する

戦略的コンサルティング・ファームの兵にとっては当たり前の「仮説思考」。知財専門家が、知財情報を駆使した事業上の提案など「知財コンサル」と形容される業務を行う場合にも、この「仮説思考」は有用だと思います。ところで、この「仮説(かせつ)」ですが…元を辿ると「けせつ」と読む仏教用語です。


TEXT BY SHIGERU KOBAYASHI


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昨今、事業会社において、知財部門に対し、事業に貢献しうる何かしらの提案をすることが求められているようです(流行的に、IPランドスケープとも呼称されているようです)。

例えば、「B2Bビジネスにおいて相手方に新規機能を提案しているが採用してもらえない。知財的な側面からの解決策はあるか」など。悠長に時間をかけていては急速に展開するビジネスのスピードについていけないから、迅速に提案をしたい…。

このようなときに闇雲に真因を探しにいっても時間がかかるだけですので、「仮説」を立ててから真因を探りにいくという「仮説思考」に基づく調査検証方法が有用であるようです。

内田和成さんの名著「仮説思考」によれば、「コンサルの世界では、証明はできていないけれども最も答えに近いと思われる答えのことを仮説」といい、「仮説を「検証」するために必要な証拠だけを集める」ことで仕事の質とスピードを上げることができる、という旨が記載されております。

私は幸運にも、2006年発行時に当時ボストンコンサルティング・グループに在籍していた親しい友人から新刊をプレゼントして頂き、何度か読ませて頂いております。

この本を読むことで、プロのコンサルのようには問題解決できていないと思いますが、自らの専門領域においてだけでも「仮説思考」を常に意識しながら問題解決にあたることで、提言のための各種調査に充てる時間を削れているという実感はあります。

ところで、「仮説」はもとは仏教用語のようです。仏教では「けせつ」と読みます。仏教における「仮説(けせつ)」とは、刻一刻と変化する事象のいまの姿の一部分を取り出して、仮に言葉で説いたものという意味のようです。世の中の事象は真理を除いて全て無常であるから、ある事象を言葉で説いたものはすべて仮説(けせつ)であると言うことです。

日常、ある事象に対する印象・感想を口にした言葉も、それが本当に適切なものかどうか、検証を繰り返して、自ら発する言葉を洗練させていくというのも面白い気がしています。



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