「速読力」は特許実務で鍛えられる

特許出願の明細書は、最初からただ読み進めるのではなく、「権利侵害があるか」とか「進歩性を否定されている箇所はどこか」などの目的意識をもって読むものだから速読することができます。そして、その「速読」のコツは、一般書(※小説など一部例外を除きます)を速読したいときにも適用できることだと思います。


TEXT BY SHIGERU KOBAYASHI


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特許出願前の先行技術文献の調査のときも、拒絶理由通知に対応するときに引用文献を読むときも、あまり時間のない中で膨大な文字量を読まないといけない場合があります。

小生が特許の世界に入ったばかりの頃(最初の数か月)は、明細書を読むときも、最初からただひたすら順を追って読んでいました。だから、中間処理のときも、非常に多くの時間がかかりました。しかし…少しでも経験を積んでくると、最初からただ流し読みをするのではなく、発明の構成要素を頭に浮かべ、それと対比しながら文章を読むことができるようになり、要するに、「目的意識」をもって、読む意味を定めてから文章を読むことができるようになりました。

そうすることで、拒絶理由対応で50ページを超える明細書を読むときであっても、訴訟対応で請求項が100ある特許公報を読むときであっても、そんなに時間をかけずに他社の技術の内容を把握することができるようになりました。

特許実務でそういう訓練を日常的にしていたので、気が付けば、読書の際の「速読力」が自然と身に着いていました。本の種類にもよりますが、本を読むことと、明細書を読むことが似ている場合があります。

本は、何かを「知りたい」という目的をもって購入します(小説などは除きます)。その目的を考慮しながら本を読めば、少なくとも、その「知りたい」という目的は速やかに達成されます(細部はもう一度読めばいいと割り切っています)。

ちなみに、小生は「文字を読む速度」自体はおそらく早くはありません。学生のときに培われた「頭の中で音読するクセ」が抜けないからです。だから今も昔も、「文字を読む速度」自体は遅いままです。それでも、知財実務で経験を積んでからは、「速読力」が付いた感覚をもっています。

なお、勿論のことですが、小説や哲学書、美術書等は読み方が違うということは分かっているつもりです。

愛読書「銀河鉄道の夜」は6歳で手に取って感涙してから30回は読んでいると思いますが、いつも「心をオープン」にして、じっくりと読ませて頂いております。



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