企業弁理士目線で有難かった外弁担当者の姿勢

以前、企業勤務の弁理士だった頃、発明者が出願に係る発明を特許事務所の出願担当者に説明する打ち合わせ(出願打ち合わせ)には必ず同席していました。少なくとも週に1回は出願打ち合わせがあったので、多くの事務所担当者とお会いしましたが、企業弁理士目線で有難かった担当者の姿勢というのがありました。



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知識の伝搬が行われるとき「心がオープンになっている」ことが重要だと思っています。例えば、先生から何かを教わるときも心がオープンになっていないと吸収率が悪いだろうし、小説を読んでも心がオープンになっていないと何も感じるものはないだろうと思います。

また、知識を伝える側においても、心がオープンになっていないと十分に丁寧な説明はなされないだろうと思います。

このことは、仕事の打ち合わせ場面にも通用する話です。特許出願の打ち合わせの場面でも、発明者が出願に係る発明の内容を、特許事務所の出願担当者に説明するとき、「心がオープンになっているかどうか」はとても重要なことだと思います。

発明者の心がオープンになっていれば、必要最低限の話だけではなく、発明に関わる事業の話、発明創出に至った話(こんな場面でふと思いついたなど)が盛り込まれ、多くの情報が出願担当者にインプットされるため、必然的に明細書の質も向上します。 

しかし、だからといって、発明者に「心を開いてください」とお願いするのは愚の骨頂。知識・情報の授受の相手が心を開くかどうかは、詰まるところ、自己責任だからです。

知財専門家にとって、発明者が心を開いてくれる要因は、例えば肌で感じられる程の高いスキルであったり、資格であったり、謙虚な姿勢もあるかもしれませんが、経験上、もっとも発明者が「心をオープン」にするのは「発明に関する事業に対する好奇心」だと思っています。

以前、私が企業弁理士だった頃、多くの出願打ち合わせに同席しましたが、特許事務所の出願担当者が発明の内容だけではなく、「その発明がどのような事業に適用されるのか、その事業はどんな形で社会に貢献できるのか」に強い興味を示してくれると、発明者の口数が自ずと増え、多くの情報を出願担当者にインプットしているように見受けられました。

そういう出願担当者の「発明が関わる事業」に強い興味を示す姿勢は、企業弁理士として有難かったです。その姿勢によって発明者の心が開かれれば良い仕事ができるわけですから。

考えてみれば当たり前な話で、多くの場合は、発明者が興味を持っているのは「発明そのもの」ではなくて「発明がツカワレル事業」の方なのだから、違うものに興味が向いている人よりも、同じものに興味が向いている人の方に心を開くのは当たり前です。

結論、発明が関わる事業の展望に興味を示し、発明の内容だけでなく周辺の話に噛り付くことは、発明者インタビューにおける重要性において、弁理士の資格や謙虚な態度の上をいくと思っています。



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