法律用語:ナラビニオヨビマタハモシクハ

特許法などの法律の条文の規定において、「並びに…/及び…」と「又は…/若しくは…」が本当によく登場します。実際、現行特許法(附則を含む)には「及び…」が500個以上、「又は…」が900個以上も登場しています。さらに、これらの用語は、明細書、特許請求の範囲などの特許出願書類を記載する際にもよく使われる用語です。そんな、重要な法律用語「ナラビニオヨビマタハモシクハ」です。


TEXT BY SHIGERU KOBAYASHI


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「並びに…」と「及び…」は、いずれも“AND”の意味です。また、「若しくは…」と「又は…」は、いずれも“OR”の意味です。それぞれ、どのように区別して使ったら良いのかは一般に知られているものではありませんが、知財専門家など法律に関わる者であるならば知っておきたいことです。つまり、「どちらが上位で、どちらが下位であるか」について。

1.AND=「並びに…/及び…」

1つのセンテンスにおいて1つの“AND”を使うならば「及び…」です。一方、1つのセンテンスにおいて、複数のグループを“AND”でつなぎ、小さいグループにおける要素を“AND”でつなぐときには、グループをつなぐ上位の“AND”には「並びに…」を使い、要素をつなぐ下位の“AND”には「及び…」を使います。

例えば、移動手段として「四輪車、三輪車、二輪車、徒歩」を挙げるとき、これらの移動手段のうち四輪車・三輪車・二輪車は「車」という小グループでまとめられます。一方、徒歩は非・車です。これらの2つのグループをつなぐのは上位の“AND”である「並びに…」を使い、「車」というグループの要素をつなぐ下位の“AND”には「及び…」を使いますので、結果として、

「四輪車、三輪車、及び、二輪車、並びに、徒歩」

となります。

2.OR=「又は…/若しくは…」

1つのセンテンスにおいて1つの“OR”を使うならば「又は…」です。一方、1つのセンテンスにおいて、複数のグループを“OR”で選択し、小さいグループにおける要素を“OR”で選択するときには、グループを選択させる上位の“OR”には「又は…」を使い、要素を選択させる下位の“OR”には「若しくは…」を使います。

例えば、上記の例と同じように、移動手段として「四輪車、三輪車、二輪車、徒歩」を選択させるとき、車と非・車の2つのグループを選択させるのは上位の“OR”である「又は…」を使い、「車」というグループの要素を選択させるのは下位の“OR”である「若しくは…」を使いますので、結果として、

「四輪車、三輪車、若しくは、二輪車、又は、徒歩」

となります。

下図は、“AND”と“OR”を解説する図です。「並びに…」という大枠の中に「及び…」という小枠が存在し、「又は…」という大枠の中に「若しくは…」という小枠が存在します。

なお、私も特許法等の法律を勉強し始めたころは、並びに/及び/又は/若しくはを混同していました。どのように覚えたかというと…“AND”を上位→下位、“OR”を上位→下位の順に並べると、「並びに/及び/又は/若しくは」になりますので…「ナラビニオヨビマタハモシクハ…ナラビニオヨビマタハモシクハ…ナラビニオヨビマタハモシクハ…」と呪文のように唱え、背骨で覚えました。「背骨で覚える」は恩師からのアドバイスです。



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