発明の姿・形を捉えるときに重要な認識

弁理士等の知財専門家が明細書・特許請求の範囲などの特許出願書類を作成するときには、まず最初に「発明の姿・形」を捉えることから始まります。そして、発明の姿・形を捉えるときに気を付けるべきこと・認識すべきことは幾つもありますが、そのうち「発明は多面的」であるという認識をもつことは、極めて重要な認識の1つだと思います。



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名画「スターウォーズ・エピソードⅤ」にて、主人公ルーク・スカイウォーカーに対して、彼のマスター・ジェダイであるオビワン・ケノービは下記のような言葉を発しました。

我々が考える真実の殆どは、自分の見方で変化する( you're going to find that many of the truths we cling to depend greatly on our own point of view. )[引用元:映画スターウォーズ・エピソード5]

このメッセージは、多くの事象に共通して当てはまる普遍的なことだと思います。

「真実のほとんどは自分の見方で変化する」というのは、ある事実に対する「自分」の見方と「他人」の見方とは違うという意味を含むと同時に、ある事実に対する「過去の自分」の見方と「いまの自分」の見方も違うという意味をも含んでいると思います。そして、このことは生活だけでなく仕事等、どの場面においても当てはまることだと思います。

特許の世界においても「真実は多面的」であることは色々なことに通用します。たとえば、真理はいつでも唯一でありますが、それに対して「発明はいつも多面的」であって、観察者の視点によって発明の姿・形は変化します

観察者の視点とは「発明の捉え方」です。一つの発明であっても複数の捉え方をすることができ、「発明の捉え方」によってクレームは全く違うものになります。「発明の捉え方」は直接的に発明の価値に強く影響します。

例えば、ある発明をコンピュータ・ソフトウェア発明と捉えるのか、または、回路発明と捉えるのかによって、請求項に記載された発明の侵害立証容易性の高低は影響を受けます。

このように「発明の捉え方」を間違えると、発明の価値をひどく低減させてしまうことにもなりかねません。また、ある発明をコンピュータ・ソフトウェア発明と捉えた上でも、クレームの現実的な姿・形は「1日前の自分」がつくったものと、「今日の自分」がつくったものとは違うことがあります。

知財専門家は、発明の価値を最大化するためにも、発明の姿・形は多面的であること、いまの自分が捉えた発明の姿・形がベストであると安易に断定しないことを常に心に留めておくべきなのではないかと思っております、自戒を込めて。



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