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Q.016 発明を創出する方法、コツなどありますか?いままで発明者と対話してき…

発明を創出する方法、コツなどありますか?いままで発明者と対話してきた経験に基づいて、発明を創出するパターンなどがあれば、教えてください。




弁理士からの回答

発明創出の頭脳の使い方にはいろいろとあると思いますが、その1つに「論理的推論の帰納法」が挙げられると思います。「帰納法」は、いくつかの事例から一般的規則を見出そうとする論理的推論の方法です。

「帰納法」によれば、発明の初期に設定する「どのような効果を発揮する物・方法を創出したいか」という目的に適うように、物・方法について試行錯誤し、試行錯誤のなかでの成功事例を抽出し、その事例から「どのような設計にすれば効果が確認されるのか」を推論します。そして、それを規則として一般化すれば、その規則が発明になります。

ただし、帰納法は一例にすぎません。ユーザーインターフェースの発明では、帰納法よりも人間工学による設計と、一種の美的センスが必要になります。

このように全ての発明に適用できるわけではありませんが、「帰納法」は発明創出の1つの方法として挙げられると思います。



回答の詳細な説明

発明者と発明方法について詳しく議論したことはないので、経験則とは言えないかもしれませんが、感覚として、「論理的推論の帰納法」によって発明している方も多いのかなという印象をもっています。論理的推論の帰納法とは、いくつかの事例から一般的な規則を見出そうとする論理的推論方法です。

発明をするとき、まずは、「どのような効果を発揮する物・方法を創出したいのか」という目的を設定すると思います。回路であれば所望の出力レベルを得るとか、機構であれば所望の動作をするとか、物体検知であれば所望の検知精度を得るなどです。

その効果を得るために回路シミュレータを動かしたり、機構物のカット&トライで試験をしたりすると、いくつかの成功事例を確認できると思います。

そして、それらの成功事例に基づいて、

  • 回路の入力値がどういうときに効果が出たのか
  • 機構の部品をどのように削ったら効果が出たのか
  • 信号処理をどうしたら検知精度が上がったのか

などを網羅的に考慮して、どのような設計にすれば効果が確認されるのかを推論し、それを規則として一般化する。すると、その一般化した規則が発明になります。こうして、作用と効果によって説明される発明が生れることになるケースも多いと思います。まさに推論、帰納法です。

ただし、帰納法は、あくまで一例です。一種の閃きで発明を創出する人もいるだろうし、実験をしていたら、不意に生まれた発明もあると思います。

また、ソフトウェア関連発明のうち、ユーザーインターフェースの発明も、帰納法では思い付かないと思います。その作用は、発明者が自ら決定するところも多いと思いますし、内部処理はプログラムでできてしまう。

ユーザーインターフェースの発明を創出する過程では、他の分野に比べて論理的推論をする程度は低い代わりに、人間工学に関する知識が必要になると思います。また、ユーザーインターフェースは意匠の側面もありますので、一種の美的センスも必要かもしれません。

このように全ての発明に適用できるわけではありませんが、「帰納法」は発明創出の1つの方法として挙げられると思います。